これは、“みんなのお気に入りレッスン”ですね。ACIM の核心でもあります。そして、確かに、“よく効くおまじない”です。この一文が、ただちに気持ちを鎮めてくれます。

 2巡目以降は、“おまじない”よりも深くこのレッスンに取り組んでみましょう。

 ポイントは、レッスンのなかの次の箇所にあります。

 特に心を動揺させているものを取り上げることを基本のエクササイズの代わりにしないようにしてください。

 今日は、すべてのものを平等に扱うことがこれまで以上に難しく感じられるかもしれません。あるものを他のものより重くとらえてしまうこともあるでしょう。次のように言ってからエクササイズを始めると効果的です。

   小さな動揺というものはありません。

   どんな動揺も、同じようにわたしの心の平和を乱しています。

 そう言ったあとで心を見渡し、些細なものであれ大きなものであれ、自分の心が乱されているものを探してください。

 あるものについて、当てはめる気持ちになれない、ということが起こるかもしれません。そのときは、次のように考えてみてください。

   この思いを抱えたままで、他のものを手放すことはできません。

   だったら、このエクササイズをおこなうために、わたしはどれも同じものとみなすことにします。

 心配、懸念、焦燥、不満、嫉妬、落ち込み、怒り、落ち込み・・・どんなことでも、それが小さいものであれ、“たいへんな事態”であれ、心にわき上がるならば、「これは、他のどんなことであれ、わたしの心が動揺するほうに、意識が間違って向かっている証拠だ」と、とらえなくてはなりません。
 <そのこと>が起きたから動揺しているのではなく、<そのこと>は、いつでも何にでも動揺する準備ができている自分の意識の在り方を示している、ということを思い出さなくてはなりません。

まず、<そのこと>、<その人>に、思い出させてくれたことを感謝しましょう。

 そして、その状況をなんとかすることはまったく問題ではないこと、今ここに示されている“証拠”を受け取って、間違った方を向いていたことを認めてゆるすこと、「正しいほうに心を向け直すよう助けてください」とホーリースピリットにお願いすること、「正しい心に戻るとき、問題、葛藤、衝突が見えるはずがないことを見たい」それだけが、唯一大事なことなのだと、ほんとうに思えるかどうかを問いかけましょう。

 そのようにして、心を、自分自身を、人生を、取り戻すのです。すべてを、自分の心のコントロール下に置くのです。人生を手中に取り戻すこと、自分で舵を握ること、それは、すなわち、自分の心を完全にコントロールするということです。
 つまり、恐れをコントロールしようとする代わりに、ホーリースピリットにコントロールを任せて、調和を取り戻すということです。

 ホーリースピリットに心の底からお願いするには、自分ではできないという認識が不可欠ですが、自分ではできないことを悟るには、「個々の具体的な出来事の間に違いはどこにもない」ということを理解しなければなりません。「この場合は自分でなんとかできる」「この件に関しては一歩もひくつもりはない」「この人だけは許せない」「この欲望はエゴなのでホーリースピリットに任せるわけにはいかない。自分の力でなんとか達成したい」というような思いを払い落としていくことが、このレッスン(このレッスンだけではありませんが)のねらいです。
 具体的なもの、形あるもの、姿の見えるもの、それらに焦点をあてるものの見方が少しずつ薄れ、視線がビジョンを求める方向に、変わっていく過程を味わうのがワークブック・レッスンの醍醐味と言えるかもしれません。<そのこと>、<その人>、<この思い>、<あの夢>、それらは例外なく、この、たったひとつの大事なこと=ゆるしに意識を目覚めさせるための道具としてのみ、役にたってくれるものなのです。

 わたしたちは、絶え間なく、「自分の考え、思いを正当化しようとしています」。「愛のない言動をされたときの対処法は?」などという質問が出ますが、「愛のない言動が自分を傷つける」などということはありません。自分の思いを正当化するために相手を裁いているだけです。
 傷ついた、と感じるとき、怒りを覚えるとき、怖いとき、それは、全部、警告です。意識の在処が間違っているから元に戻しなさい、という警告、または優しい合図です。
 どんな感情も、合図です。
 そして、合図を受け取り、ただひとつ、するべきこと、ゆるしに心を使うとき、わたしたちは、怖れのなかに(動揺のなかに)い続ける必要はなく、そしてその証拠に、「確かに安全なところにいる」ということを、ホーリースピリットは見せてくれます。

 動揺は、愛がないことで起こります。それだけです。愛とは、守られていることであり、それは、愛に仕えているときのみに受け入れられるものです。アトーンメントという治療薬を求めることが人生と決めると、それを受け取ることができます。

<質問> 最近の感情を思い出してみましょう。具体的に書き出します。「夫との口論で寝不足になり、疲れてイライラしていたので、ぐずっている子どもを無視し、それからひどい自己嫌悪に陥った」等々、具体的に書いてください。そしてそのストーリー全体が、「愛の不在」の場所で繰り広げられていたということを理解してください。愛に戻りたい、戻してください、と祈れますか。これが、ゆるしの練習です。